トランプ関税の真意を読む──これは世界への“経済的メッセージ”だ
2025年、ドナルド・トランプ大統領が再びホワイトハウスに戻り、早速世界経済に大きな波紋を広げた。2月・3月に連続して発表された一連の大統領令。そして極めつけは、各国に対する大規模な関税措置である。
株式市場は大きく反応し、米国株は暴落。日本株も連動する形で調整を余儀なくされた。しかし、今回の下落は単なる金融危機でも、企業の経営破綻でもない。仕掛けたのは“意志”を持った一人の人物──第47代アメリカ合衆国大統領、ドナルド・J・トランプである。
関税は外交の武器──トランプ流ディールの基本戦術
トランプ氏は一貫して「アメリカ第一主義」を掲げており、その交渉術は極めて直接的でパフォーマンス性が高い。高関税はその典型であり、これは貿易不均衡を是正するための政策というより、相手国に“圧力”をかける手段だ。
実際、トランプ氏は大統領に就任して間もなく、日本を含む各国に対して最大35％の関税を課す意向を示し、特に自動車や精密機器といった主要産業を狙い撃ちにしてきた。
だがこれは経済制裁ではない。真の目的は、貿易相手国を交渉の場へと引きずり出し、アメリカに有利な条件を引き出すことにある。
中国包囲網という本当のターゲット
本質的に、トランプ氏の政策は「中国の国力を削ぐこと」に焦点を当てている。 中国はAI、半導体、エネルギー、そして世界のサプライチェーンにおいて急速に影響力を高めているが、トランプ政権にとってこれは脅威以外の何物でもない。
正面から戦争をするわけにはいかない。だからこそ経済で縛る。関税という形で中国だけでなく、間接的に中国と関係の深い国々にも揺さぶりをかけ、全体的な包囲網を形成しようとしている。
一方で、中国もそのことを理解しており、今はあえて真正面からはぶつからず、水面下で次の布石を打っている可能性が高い。
方針転換のタイミング──いつ薬を止めるか
ご存知の通り、トランプ氏は「勝利の演出」が得意である。 関税政策により交渉相手が譲歩すれば、「アメリカが勝った」と公に宣言し、そこからは一転して政策を緩和する可能性が高い。
このタイミングこそが市場にとっての転換点となる。 それは“好材料”として受け取られ、株価は反発、リスクオンモードへと転じるだろう。
投資家にとって今大事なこと
現在の相場の混乱は、あくまで「政策由来のノイズ」であって、企業の本質的な価値が揺らいでいるわけではない。
つまり、目先の下落に振り回されず、冷静に「これは誰が何の目的で起こしているのか？」を読み解く視点こそが、今のマーケットで生き残る鍵となる。
投資家に求められるのは、恐怖に流されないこと。そして本質を見極めた“静かなポジショニング”である。
世界は今、見えざる経済戦争の只中にある──その戦局を読み解けるかどうかで、私たちの未来は変わる。
