米問屋3社の利益が異常急増?──2025年1〜3月期決算から見える実態

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2025年6月、小泉進次郎農林水産大臣が国会で「ある米卸業者は営業利益が前年比500%増」と発言したことをきっかけに、米卸業界の収益構造に注目が集まりました。

では、実際に主要米問屋3社の2025年1月〜3月期(第1四半期)の業績はどうなっていたのか? そして本当に“異常”と呼べる成長があったのか?決算資料をもとに検証します。


1. 木徳神糧株式会社(Kitoku Shinryo Co., Ltd.)

  • 営業利益(前年同期):414百万円
  • 営業利益(当期):1,853百万円
  • 増加率+347.6%(= 487.4%に相当する増益)
  • コメント:営業利益が4倍を超える水準に達しており、常識的な範囲を逸脱した数値として注目を集めている。

2. ヤマタネ株式会社(Yamatane Co., Ltd.)

  • 営業利益(前年同期):公開数値では明示なし(部門別の推定値)
  • 食品事業の急増が確認されており、前年比+500%超とするメディア報道あり
  • コメント:急増幅の大きさが他社と同様に異例であり、その詳細な構造や収益要因には不透明な部分が残されている。

3. 神明ホールディングス(Shinmei Holdings Co., Ltd.)

  • 営業利益:非公開(非上場企業)
  • 補足情報:備蓄米入札で大口落札を継続している点や、業界最大の供給ネットワークを持つことから、収益が急増していても不思議ではない。

異常な利益増の背景に何があるのか?

  • 米価の高止まりと入札制度の影響:2024年〜2025年にかけて、政府備蓄米の放出や入札制度の運用方法により、卸業者が市場において有利なポジションを得るケースがあったと見られます。
  • 政策対応の遅れと在庫戦略:需要と供給のミスマッチ、また制度の切り替え時期に生じた“制度の隙間”を突いた戦略が奏功した可能性も。

これらの要因を踏まえると、2025年Q1における300〜500%という営業利益の急増は、単なる需要の自然増では説明できない、“制度環境や市場構造に起因した収益の集中”と見ることもできます。


結論:構造的な成長ではなく、価格差益による“スポット収益”か?

今回の増益はあくまで「市場のひずみ」を活かした結果とも言え、問屋側が本質的に収益構造を改善したというよりは、“仕入れタイミング”や“在庫戦略”で生じた一過性の利益と見るのが妥当です。

とはいえ、これを機に米卸業界の利益構造や透明性、ひいては農政との関係性まで問われることになりそうです。

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